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食べる楽しみ
広島大学大学院 教授 柴 芳樹

■口で、”モグモグ・ゴックン“して、はじめて味わえる楽しみ

食事の時には、美味しい、楽しいと感じ、食事が終わると満ちたりた気持ちになります。私たちの体には、昔から言われているように、五感が備わっています。

動物たちは、食べることを、楽しい、美味しいと感じているのでしょうか? 犬や猫を見れば、彼らもうれしい時には、飛び跳ねるように、その行動から察することが出来ます。しかし、美味しい、楽しい、と彼らが感じているかは、わかりません。脳科学がさらに発達すれば、彼らにヘルメットをつけて、彼らの感じている脳活動を可視化し、会話できる日が来るかもしれません。

食べ物の味は、舌の味蕾にある細胞で、感じていることは、昔から知られていますが、一昔前までは、味の基本は、甘い、すっぱい、しょっぱい、苦いの4種類でした。英語圏の人達には、“うまい“という味を表わす言葉がありません。日本には、”うまい”と言わせるだけの調味料が昔からあり、その味を表す言葉“UMAMI”は、英語になりました。

我々の日本食の基本は、薄味で素材の美味しさを楽しむものです。味が均一化し、お袋の味が無くなりつつあるといわれていますが、食べる楽しみは、一日三回もあります。口で、”モグモグ・ゴックン“して、はじめて味わえる楽しみです。毎日、毎日の食べる楽しみを大切にしましょう。

■食べる楽しみ、話す楽しみ


5匹のヒドラ達と左上は口の拡大図です

ところで、食べるためや話すための お口は、どの動物から あるのでしょうか? 多くの動物では、口は食べるためのものです。細胞が一つの生物も、動物となれば、栄養摂取のための“口”を持っています。水の中を泳ぎ回っている“ゾウリムシ”がそうです。沢山の細胞がより集まって出来た動物で、初めて“口”と言われるような構造が出来ました。海でよく見る“イソギンチャク”です。淡水では“ヒドラ”と呼ばれる動物です。彼らは、体にひとつの孔しかもっていませんから、口は摂取と排泄の両者を兼ねています。


ナマコの口です
海にいる“なまこ”や“ウニ”になると、彼らは食物摂取のための口と食物残渣を排泄するための肛門を持っています。両者の間は消化管で結ばれ、彼らには、我々の食べるという基本構造があります。魚になると口と鼻孔ができて、さらに歯を持っています。歌うことが出来るようになるのは“カナリヤ”の鳥類からでしょうか?どの動物から食べる楽しみ、話す楽しみを感じているのでしょうか?食べる楽しみや話す楽しみを大切にしましょう!

 

広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 
創生・病態探求医科学講座(口腔生理学)
教授 柴 芳樹
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