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8020達成のための学校給食検討事業について(第4報)
広島市歯科医師会

 

広島県歯科医師会と広島市歯科医師会では、学校給食に着目し、学校現場でその現状と問題点を食育の観点から調査し、食育を基本とした8020達成のための学校給食のあり方について調べ、それらについて報告しています。
今回は、保護者ならびに学校歯科医との連携及びその他について報告し、今回で報告を終了します。

6.連携

1.保護者との連携

学校給食に関して学校と保護者との連携する手段は、学校規模に関係なく、学校から保護者に発信される「健康だより、保健だより、給食通信など」と「給食試食会」であった(図14)。


学校保健委員会は、学校関係者、保護者(PTA)、学校医、学校歯科医、学校薬剤師などが一堂に会して諸問題について協議検討する場であり、教育・安全・保護者との認識共有の観点からも学校給食あるいは食育について意見交換がされることが期待される。

2.学校歯科医との連携

学校給食について学校歯科医と連携しているのは約半数で、その場は「学校保健委員会」と回答した学校が最も多かった(図15、16)。
その他の連携としては、歯科検診後に噛む事の指導をしてもらったり、その内容を保健だよりへ掲載するといった意見があった。また、栄養教諭、養護教諭、給食センター及び学校歯科医などが協力して「かみかみ給食」を献立に取り入れている学校もあった。


学校では、総合的学習の時間をはじめとした教育現場で学校歯科医へその係りを依頼することができるが、時間的な制約がある中で外部講師として依頼されていることは特筆するべきである。
また、連携を取っていない理由としては、「学校歯科医が忙しくて迷惑になる」という意見が多く、学校歯科医に依頼しにくい雰囲気があり、そのことが「連携を取りにくい」につながっているように思われた(表4)。
しかし、これは学校歯科医側にも問題点があるように思われ、学校保健委員会などの場でもう少し踏み込んだ話し合いが必要であると考えられた。食育以外の連携は取っている学校や、食育に関しての学校歯科医の係わりの必要性に否定的であったり、その必要性に対して意識の無かった学校が多かった。
しかし、本アンケートを通じて連携の必要性に気づいた学校も多く、今後のさらなる連携に期待できる。

表4(連携をとっていない理由)

  • 食育以外での連携で十分:8件
  • 今後食育に関しても連携をとるようにつとめたい:7件
  • 食育連携が必要だとは感じていない:6件
  • 学校歯科医が忙しく、なかなか時間をいただき難い状況:5件
  • 学校歯科医とは連携を取りにくい:5件
  • 学校歯科医が食育にも歯科保健教育にもあまり協力的でない:2件
  • 学校の時間がとれない:2件
  • 特になし:13件

2.学校給食について学校歯科医に関って欲しいこと

学校給食への学校歯科医の関わり方についての結果である(表5)。
「食に関する講演や指導をして欲しい」という学校からの生の声をほとんどの学校で聞くことができた。このことからも、学校歯科医を含めたかかりつけ歯科医師がもっと食育の場へ積極的に係わっていかなければならない。また、食育への関与を不要と思っている先生方がいる反面、噛む事の大切さを意識している先生方が多いことも理解できた。

表5(学校給食について学校歯科医に関って欲しいこと)

  • 給食を通じて、噛んで食べることの大切さや歯の健康について生徒や職員や保護者に話しをして欲しい(学校給食会、学校保健委員会、ゲストティーチャー、給食だより等):89件
  • 給食時間等へ参加して噛む事への指導をして欲しい:16件
  • 実際に噛んでいる様子を見たり、献立て委員会に出席してしっかり噛める献立に助言をして欲しい:7件
  • 歯みがき指導での連携のみを希望:6件
  • このアンケートで、学校給食について、学校歯科医と連携していけるものを見い出していきたいと思った:1件
  • その他:8件

7.その他

むし歯や噛み合わせの異常が、食べることに悪影響を及ぼすことについて、99.8%の学校で理解されており、また逆に、よく噛むことがむし歯の発生抑制や噛み合わせを悪くしないことに関与していることについても98.0%の学校で理解されていた。
学校現場においては、全身的な健康管理の観点からも歯・口腔の健康診断の結果を一層活用していただきたいものである。
8020達成のためには、小児期から高齢期に至るまで、食べる器官としての歯と口の健康と食べることを関連させながら食育を推進していくことが重要である。歯科保健領域での食育とは、「口」から摂取する食品に応じた咀嚼と嚥下を行う「食べ方」の育成である。
健全な歯と口を使った「食べ方」は、身体の栄養のみならず味わいや心のやすらぎ、表情の演出など多面的であり、これらを意識した「食べ方」の支援を中心に据えた食育を推進する取り組みが歯科保健領域の課題と考えられる。

3.まとめ

食生活や食習慣のあり方は、成長期にある児童・生徒の「からだ」と「こころ」の発育に大きく影響しており、学校現場において学校給食は生きた教材として指導が行われている。「歯と口の健康」は、食べることだけにとどまらず、顔の表情や印象、話しをするときの発音にもなくてはならない存在であり、人と人がコミュニケーションを図るためにも重要な役割を果たしている。食べ物をよく噛んで、健康な歯と口をつくることは全身の健康とも深く繋がっており、心豊かな人生を送り8020達成のためにも大変重要なことである。
学校給食の献立については、現時点で食材の選定には噛みごたえなどを考慮したものが見られるが、今後も継続して導入していただき、さらに給食時間において食に関する指導を行うことにより、さらに児童・生徒の理解が深められることを期待する。
そのために、学校給食献立表などに学校歯科医からのコメントを掲載したり、学校給食の献立作成委員会等に参画するなど積極的に係わることが考えられる。また、学校給食試食会に学校歯科医が参加することも提案できる。このような取り組みは、児童・生徒のみでなく、保護者への波及効果も期待できるものと思われる。
学校現場で行われている積極的な取り組みに是非目を向けていただき、全ての学校においてこれらの取り組みが広がり、噛む事から考える学校給食を通じて、全ての児童・生徒が健全に成長し、8020を達成することを願うものである。

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