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広島の冬の味覚はやっぱりカキじゃろう!(後半)
広島県歯科医師会

カキで作る

郷土資料館では、広島のカキ養殖の変遷について、写真やジオラマで非常に細かく説明してあった。また、当時カキ養殖で実際に使われていた道具の展示もあり、広島湾でカキ養殖が発展してきたようすが手に取るように分かった。その中でも広島のカキ養殖の発展に貢献したのが、江戸時代に大阪に販路を広げ需要拡大に一役買った広島のカキ船だったという事実には驚いた。(余談だが、このとき付けあわせで使われた広島菜もカキ船のおかげで全国に知れ渡ったそうだ。)
 


広島市郷土資料館資料提供

 
江戸時代のカキ船料理を再現した模型が展示されており、希望者にはレシピがいただけると、書いてあったので、早速事務に行って、レシピを一部いただいて帰った。
先程買ったカキは、当然の流れで、江戸時代カキ船料理として調理することにした。

 

持って帰ったレシピとカキを妻に見せ「今日の晩御飯はカキ料理にしてくれ♡」という私に「私にできるわけがないじゃろーが!」と妻は尻込みをした。あきらめのいい私は、近所の和食料理店にレシピとカキを持ち込んだ。
 
大将に「何とかならんか」と聞いてみたところ、「作ったことはないけど、やってみましょう」と心強い返事をいただいた。
レシピには「酢がき」「カキ飯」など有名どころをはじめ、「カキのひね生姜煮」や「カキのからまむし」「カキの土手焼き」など聞いたことのないものまで全部で8品の作り方が書いてあった。
このレシピは、江戸時代後期の東林というお坊さんが、大阪のカキ船で(広島から営業に来ていた)広島カキ料理8品を食べ、大変おいしかったことを紀行文に残しており、その8品を記述にもとづき若干の推測を交えながら再現したものだそうだ。
 
全部作ってもらうのは、さすがに気が引けるので「カキのひね生姜煮」「カキのからまむし」「カキの土手焼き」「カキの吸い物」「カキ飯」の5品を作っていただくことにした。
作り始めたものの、「こんなちっちゃな字は読めないよ~」と泣き言を言いだした大将に、私がレシピを読み上げながらの調理となった。「しょうゆと砂糖と酒をまぜて!」との私の言葉に「ハイ!」といい返事をしながら、順調に(?)調理は進み、めでたく「江戸時代カキ船料理」5品は完成した。
 


昔の調理法なのでシンプルな料理なのかと思いきや、ひとつの料理で、生姜をすって、薄切りにして、千切りにして使ったり、カキを炊いた汁だけ分けて、後から使ったりするなどなかなか手の込んだレシピであった。(ただし、一般の家庭でも十分に調理可能だということを申し添えておく。ほしい方は郷土資料館にGO!)どの料理も珍しくまた、お世辞抜きで、全てとてもおいしくいただいた。(当然、大将の腕もあるのだろう。)
 
特にカキのひね生姜煮は生姜の香りと味がちょうどよく、酒の肴にもってこいであった。 大将も「長年この仕事をしているが、生姜のこのような使い方ははじめてだ。鮮度を保つのが難しい時代の昔の人の知恵なのだろう。」と感心しておられた。

カキグラタンをはじめ、カキシチュー、カキのオリーブオイル焼き、バター焼きと最近はカキ料理も多岐にわたり、それぞれとても美味であるが、たまには、江戸時代に大阪の川に浮かんでいた広島のカキ船に思いを馳せながら、当時のカキ船料理に舌鼓をうってみるのもまたオツなものである。

 

取材協力
向井水産 広島県広島市中区江波南1丁目20-12
マルヒロ水産株式会社 広島市中区江波本町21-5
広島市郷土資料館 広島市南区宇品御幸二丁目6-20
ふぐ・あんこう料理「てん熊」 広島市西区楠木町2丁目4-14

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