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選食力を身につけよう!(その4)-「食品表示」を知ろう
-遺伝子組み換え食品について
広島市歯科医師会顧問 NPO日本食育インストラクター 小松 昭紀

「遺伝子組み換え」とは、生物の細胞核のDNAから、有用な遺伝子を取り出し、他の生物の細胞核に組み込む品種開発の手法をいいます。強力な除草剤に耐えたり、害虫に強い性質を持つ品種が主力で、トウモロコシや大豆、菜種などに応用されています。
その遺伝子組み換え技術によって品種改良された作物、またはそれを使用して作られた食品を「遺伝子組み換え食品」と呼びます。
種の壁を超えて他の生物に遺伝子を導入でき、農作物等の改良範囲の拡大、改良期間の短縮、生産性の向上が可能になり、農家にとってはコスト削減や増収につながりますが、人工的な遺伝子のため危険性も否めません。
2008年時点で25ヵ国で栽培されていますが、日本では食用の遺伝子組み換え作物は生産されていません。現在、日本で販売されている遺伝子組み換え作物はすべて輸入品です。そして、安全性が確認されたもののみ食品・飼料としての流通が認められています。
しかし、遺伝子組み換え食品に対する不安は、まずアレルギーの不安です。新しい遺伝子で生み出されたたんぱく質がアレルギーの新たな原因物質になる可能性があります。このほかにも生態系への影響不安などがあります。

 
以下の農作物と、その加工食品については、遺伝子組み換え食品であることの表示が義務付けられています。
加工食品の表示義務があるのは、原材料に占める重量が上位3品目以内でかつ、重量の割合が5%以上(「5%条項」)の原材料に関してのみで、重量の割合が5%未満なら、上位3品目であっても表示しなくていいことになっています。
わが国の場合、上記のような「5%条項」という免責条項があります。つまり、遺伝子組み換えの割合が5%以下であれば、組み換えがないものと見なすという基準です。EU諸国では「0.9%以下」ですから、それに比べると日本の基準は甘すぎるようにも思えます。
また、醤油や食用油、清涼飲料水に使うシロップのように、組み換えられたDNAなどが食品に残っていなければ表示義務はありません。


 

■遺伝子組み換えの表示義務がある食品

  1. 農作物
    大豆(枝豆、もやしを含む)、じゃがいも、とうもろこし、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜
  2. 加工食品
    1の農作物を材料とした32種類の加工食品(豆腐、納豆、スナック菓子など)

 

表示は次のようになります。

  1. 遺伝子組み換え農産物を原材料としている場合
    例)大豆(遺伝子組み換え等)……義務表示
  2. 「遺伝子組み換え農産物」と「非遺伝子組み換え農産物」が不分別の農作物を原材料とする場合
例)大豆(遺伝子組み換え不分別)等……義務表示


表示義務のあるものないもの

規定 表示義務のあるもの 表示義務のないもの
大  豆

豆腐(加工品を含む)、油揚げ、調理用大豆、枝豆、大豆もやし、納豆、豆乳、味噌、煮豆、きな粉

これら及び大豆たんぱくを主な原材料(注)とする食品
大豆油、醤油
トウモロコシ コーンスナック菓子、コーンスターチ、ポップコーン、(生食用)トウモロコシ、冷凍・缶詰トウモロコシ、コーンフラワー・コーングリッツを主な原材料とする食品等 コーン油、コーンフレーク、水飴、異性化液糖、デキストリン
ジャガイモ (生食用)ジャガイモ マッシュポテト、ジャガイモ澱粉、ポテトフレーク、冷凍・缶詰・レトルトのジャガイモ製品、これらを主な原材料とする食品
菜  種   菜種油
綿  実   綿実油
アルファルファ アルファルファを主な原材料とするもの  
て ん 菜 てん菜(調理用)を主な原材料とするもの  

(注)「主な原材料」とは全原材料中重量で上位3品目で、かつ、食品中に占める重量が5%以上のもの


「遺伝子組み換え大豆は使用していません」とか「非遺伝子組み換え大豆使用」という豆腐の表示をよく見かけますが、原産国(地)の表示はありません。
こうした「遺伝子組み換えしていない大豆使用」と表示してある豆腐を、農民連食品分析センターが分析した結果では、43%の製品から遺伝子組み換え大豆の反応が出ました。明らかに遺伝子組み換えした大豆が入っていることが判明した事例もあります。

現在、納豆と豆腐はともに「国産大豆使用」という表記に対して、厳しい業界の自主基準がある食品です。「国産大豆使用」とは、100%国産大豆を使用した場合にしか書くことはできません。国産と輸入の大豆を混ぜてある場合には「国産大豆○%使用」と、その割合を明記しなければならないことになっています。
日本の大豆の自給率は4%です。したがって96%は輸入ということになりますが、日本で消費される大豆の約75%、トウモロコシの約97%がアメリカからの輸入に頼り、製油や飼料用には多くの遺伝子組み換え作物が使用されています。
アメリカでは、大豆がほぼ100%、トウモロコシで約70%が遺伝子組み換え品種といわれています。その大部分は家畜の飼料になっていますが、その飼料で育てられた家畜の肉を私たちは食べているのです。本当にそれで安心なのか大きな不安が残ります。

一般の品種改良では、ある作物と作物を掛け合わせ、次の作物を作りますが、そこには何年もの時間の試練が含まれています。その時間経過の中で安定した状態を保ったものが、新しい作物として流通していくのです。
ところが、遺伝子組み換え作物は、ある部分と部分を入れ替えて、すぐに市場に出回ります。安全性、危険性、安定性などについて、十分な研究はほとんどなされていません。
遺伝子組み換え作物が、自然界においてさまざまな相互作用を及ぼしあう中で、害虫を殺すかもしれないし、新たな耐性菌ができるかも知れません。また、遺伝子組み換え作物自体が、不安定な状態に陥るかもしれません。
しかし、その安全性・安定性を検証するためには、植物が世代交代する何世代もの時間の試練が必要で、そうした年次の研究が十分に行われていないところに、遺伝子組み換えの問題があるように思われます。


遺伝子組み換え技術を応用して作った健康食品での事故でアメリカでは数千人という被害者が出たとも言われています。絶対的に有害だという結論は出ていませんが、避けた方が賢明と言えるでしょう。
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