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選食力を身につけよう!(その13)-糖尿病予防には低GI食を! 食べる順番も大事!-
広島市歯科医師会顧問 NPO日本食育インストラクター 小松 昭紀

増え続ける糖尿病患者

わが国では、糖尿病患者が予備軍を含めると2,200万人以上と増え続けています。この数は、40歳以上の日本人の約1/3に相当します。糖尿病とは、食後の血糖値が高くなり過ぎ、その上昇した血糖値が正常値に下がるまでに時間がかかるものをいいます。したがって、食後高血糖を防ぐことが糖尿病の予防・改善につながることは明らかで、糖尿病の基本的な予防策は食生活の改善にあることは言うまでもありません。私たちは、普段から食べ過ぎないように節制しなければなりませんが、何をどのように食べればよいのか、情報が不足しているのが現状でしょう。

血糖値が上がりやすい最近のご飯 ― 品種改良と過度の精米が原因

私たちの主食である最近のご飯は、食べた後の血糖値の上昇が昔のご飯よりも高いといわれています。これは品種改良と精米のし過ぎが原因であると考えられています。
お米は多糖類で、ブドウ糖や果糖などの単糖類がいくつも長く連なったものです。そのつながり方には主に2通りあり、直線状につながったものが「アミロース」で、樹枝状にいくつにも枝分かれしたようなつながり方をしたものをアミロペクチンといいます。そして、アミロースに比べてアミロペクチンのほうが消化されやすいのです。

品種改良でおいしくなった最近のお米は、このアミロペクチンが多くなっています。その上、高性能の精米機でまわりを削り過ぎるほど削って内部のおいしい糖質だけを食べているのです。そのため、品種改良されたおいしいお米を食べ過ぎると血糖値の急上昇を招くのです。逆に、アミロースの多いお米を食べたときの血糖値の上昇は緩やかになります。


お米の品種で比較すると、うるち米はアミロースがやや多めなので比較的ゆっくりと消化されます。インディカ米などはさらにアミロースが多く、ちょっと味気ないですが、血糖値は上がりにくいお米です。一方、もち米はアミロペクチンが多めなので消化されやすく、うるち米に比べて血糖値が急激に上昇します。最近では、アミロースを添加した「高アミロース米」も市販されるようになりました。

血糖値が上がりやすい食べ物が増えている

また、普段何気なく口にする食べ物にも精製食品が多くなりました。精製した食材は簡単に消化吸収されるようになっていて、さらに、口当たりをよくするため、ブドウ糖が添加された食品が少なくありません。現代人は、このように血糖値が上がりやすく加工された食品をよく食べるようになっており、それが糖尿病の増加につながっているのです。

食後の高血糖を避ける低GI食品を知り、低GI食の実践を!

一般的にGI値が低い食品としては、加工度の低い自然のままに近い穀類(玄米、全粒粉、とうもろこし、きび、あわ、ひえ、そばなど)や食物繊維の多い食品(野菜類、海藻類など)、消化に時間のかかる食品(寒天など)が挙げられます。

低GI食の効果としては、糖尿病の予防と改善、肥満症の予防と治療、慢性肝疾患(慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝)の食事療法、心臓血管系疾患(狭心症、心筋梗塞)の予防、高血圧症の予防と治療、脂質異常症の予防と治療など、現在のわが国の最大の医療問題である生活習慣病全体の改善対策につながることが示されています。

【表1】米飯食(包装米飯147g)を基準(100)としたGI値

(神奈川県立保健福祉大学・杉山みち子教授らの資料から編集)

高GI(70以上)  中GI(56~69)  低GI(55以下)
調理米飯
お粥(99)、チャーハン(97)、焼きおにぎり(94)、エビドリア(84)、リゾット(64)
米飯と一汁一菜
豆腐味噌汁(93)、明太子(74)、卵雑炊(58)
米飯と肉類
鳥ササミのから揚げ(88)、とんかつ(75)、豚生姜焼き(56)
米飯と魚類
うなぎ(89)、かつおのタタキ(75)、あじの南蛮漬け(56)
米飯と豆類
冷や奴(88)、揚げ出し豆腐(85)、納豆(68)
米飯と煮物
かぼちゃ(118)、きんぴらごぼう(99)、さといも(82)
米飯と野菜
ほうれん草のお浸し(107)、きゅうり(102)
丼もの
親子丼(117)、すき焼き丼(83)、かつ丼(58)
かけご飯
卵(88)、カレー(82)、とろろ(57)
混ぜご飯
おかか(96)、ひじき(75)、しめじ(68)わかめ(64)
寿司めし
ちらし寿司(105)、いなり寿司(70)、寿司めし(67)まぐろ(54)
酢の物
米飯ときゅうりの酢の物(75)、わかめの酢の物(48)
米飯と牛乳・乳製品
牛乳(69)カレーライスとチーズ(67)
その他、米加工品
せんべい(111)、赤飯(105)、白玉(79)、お汁粉(58)
世界保健機構(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)は1998年に、低GI食品を推奨する方針を打ち出しており、イギリスやオーストラリアではGI値を表示した食品が販売されております。このような状況を受けて、わが国の専門家の間でも近年、カロリーとともに食品選びに活かせるようなGI値の研究が進められてきており、また一部食品メーカーでも2005年頃から、低GI値を表示した食品を販売し始める動きも出てきております。

神奈川県立保健福祉大学の杉山みち子教授らのグループは、上記の(表1)に示すように、ご飯147g(糖質として50g相当量)を基準として日本の様々な食品のGI値を調べ、日本人の食生活に合った“白米の米飯を基準食”として測定されたGI値を発表しております。
これをみると、米飯自体のGI値はブドウ糖を基準とした場合と同様に比較的高いのですが、食品の組み合わせによってもGI値が大きく違ってくることが分かります。ご飯と卵を食べたときは88、ご飯と納豆を食べた場合には68、寿司めしにした場合には67というようにGI値が算出されています。また、米飯を牛乳や三杯酢(酢・砂糖・塩など)と一緒に食べるとGI値が低くなることが分かります。さらにヨーグルト、大豆製品(納豆・きな粉・みそ汁など)と組み合わせることにより、米飯のみを摂取する場合よりもGI値は顕著に低くなっています。

GI値が基準食の米飯よりも30前後も低下した食べ方は、わかめの酢の物、あじの南蛮漬けなどの酢を含有した食品、豚生姜焼き、牛乳といっしょに食べること、しめじやわかめの混ぜご飯にしたり、とろろと組み合わせたり、卵雑炊やリゾットにすることなどです。

また、調理法や調味料でもGI値は変わります。ゆで方でも、ある程度硬めに調理したり、麺類やスパゲッティなどは中心部分に少し芯が残るアルデンテでゆでるとGI値が下がります。糖質の多いものでも、チャーハンなど油を使うとGI値が低くなります。しかし、エネルギーの摂り過ぎには注意が必要です。

先述のように、お酢を使うこともGI値の低下に貢献します。お酢には、消化を遅らせる働きがあり、その結果GI値を下げるといわれています。出来上がった料理に、お酢をかけてみるのもおすすめです。

食品の購入に際して、低GI食品を選択するだけでなく、食品の組み合わせ食べ方においても高血糖にならないような工夫が望まれます。食物繊維の多い食品を積極的に活用し、食事の際、食物繊維の多いおかずから食べるのも良い方法です。

食べる順番も大事! 「野菜」→「魚・肉」→「ご飯」は最後

最初に野菜やきのこ、海藻などのおかず(おひたし、あえもの、サラダ、具だくさんのスープやみそ汁、ナムル、野菜の蒸し物、きのこ炒めなど)を5分ぐらいかけて食べ切りましょう。続いて肉類や魚介類、大豆製品、乳製品など、たんぱく質のおかずに移り、最後にご飯やパン、麺類などの炭水化物(ご飯、麺類、パン類、イモ類・カボチャなどの一部の野菜、果物など)を摂るようにします。

カロリー量が同じでも野菜を先に食べるだけで、炭水化物を先に食べる場合より血糖値の上昇を抑えられ、インスリンの分泌量が少なくて済みます。野菜に含まれる食物繊維が、炭水化物の分解を緩やかにし小腸からの糖の吸収を遅らせているのです。また、野菜と同時に摂った油は胃の中の滞在時間を延長し、酢も吸収を遅らせるので、両方含んだドレッシングなどを野菜サラダに使うのは理にかなっているといえます。

さらに、よく噛んで食べると、インスリンの分泌量を抑えることにも繋がります。インスリンを作る膵臓のベータ細胞は、急激な分泌を繰り返す食生活によって機能が衰え、年齢とともに分泌量も減ってきます。糖尿病の発症を抑えるためにも、血糖値を管理してベータ細胞の働きを維持する必要があります。一口30回噛むことを目標にしましょう。多く噛むことで消化器系の負担を軽くし、早食いが防止でき、満腹感も得られ、食事の量自体をセーブすることができます。

初めから、ご飯、パン、麺類などの炭水化物から食べ始めると、食後に高血糖状態になり糖尿病を誘発しやすく、さらに、細胞の老化を促進する活性酸素が溜まりやすく、老化が早まります。

肉類、魚介類などたんぱく質の多いおかずから食べ始めると、血液中の中性脂肪やコレステロールが溜まりやすく、動脈硬化や脂質異常症のリスクが高まります。

野菜、きのこ類、海藻類など食物繊維の多いものから食べることを続ければ、老化予防や糖尿病・脂質異常症の予防だけでなく、健康的なダイエットにもなり、理想的な食べ方と言えます。野菜には、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルなど健康維持や老化予防に効くものが含まれています。なかでも、食物繊維には腸内でブドウ糖やコレステロールの吸収をゆるやかにしたり抑制する作用があります。その効果は、野菜を5~10分前に食べたほうが、より高まります。野菜類は、できれば1種類だけでなく、緑黄色野菜2~3種類、淡色野菜1~2種類を混ぜると栄養バランスがとれます。野菜は1日に350g以上、きのこ類は50g、海藻類は戻した状態で20gを目標にしましょう。

たんぱく質は皮膚や血管など細胞を作る原料となります。不足すると肌の張りがなくなったり、髪がパサパサになったり、免疫力が低下したりするので、肉、卵、魚、大豆、乳製品をバランスよく摂るようにしましょう。脂質の摂り過ぎは肥満を招くので、豚肉や牛肉ならヒレやももなどの赤身を選び、鶏肉は皮を取り除くとヘルシーです。豆腐、納豆、がんもどきなど大豆製品も1日1回はメインのおかずとして活用しましょう。

ご飯、パン類、麺類など炭水化物は最後に。いも類、枝豆、グリンピース、空豆、小豆、かぼちゃ、れんこん、とうもろこし、栗、ぎんなん、果物もこのグループに含まれますので注意が必要です。これらを最後に食べ、量を控えるようにすると、食後血糖値の急上昇を抑えることができます。ご飯だけを食べるのがイヤという人は、たんぱく質のおかずをいくらか残しておくとよいでしょう。

体に良いものを食べるときは、その順番をきちんと整えることで、食材に含まれる効能を最大限に発揮させることができます。普段から、和食のコース料理のような順番で食べることを意識するのをおすすめします。懐石料理は理想的な食べ方だといえます。昔から懐石料理は一品一品、少しずつ出てきて、最後にご飯や麺類はちょっと出るだけです。

イタリア料理でもサラダが出てからパスタ料理になります。炭水化物を食べる前に野菜、しかもビネガー(酢)を使ったドレッシングをかけて食べると血糖値の上昇を抑えます。
これも理にかなった食べ方だといえるでしょう。

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