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選食力を身につけよう!(その14)-新しい「食品表示法」について-
NPO日本食育インストラクター・食育実践プランナー  小松 昭紀
広島市歯科医師会顧問
 食品を摂取する際の安全性や消費者の合理的な食品選択の機会を確保するという目的で、従来の食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律の食品表示に関する規定を統合して、食品表示に関する包括的かつ一元的な制度「食品表示法」が創設され、2015年4月1日より施行されています。しかし、この新法は5年間の猶予期間が設けられているため、まだ店頭では、新基準による表示はほとんど見かけません。今回は、この新表示法について、主な改正点などを見て参りましょう。

1.栄養成分表示の義務化―「ナトリウム」が「食塩相当量」に

原則として全ての消費者向けの加工食品及び食品添加物に栄養成分表示を義務付け、「エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量」の5項目の表示が義務化されました。旧表示では「エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム」でしたが、新表示ではナトリウムの代わりに「食塩相当量」が示されています。食塩を添加してない食品でも原材料由来のナトリウムが含まれているので、「食塩相当量○○g」に「(ナトリウム△△mg)」と併記することは可能です。
 また、この栄養成分表示欄の枠外に、「この表示値は、目安です。」と記載のあるのは、実際にはこの表示値の±20%に収まらないことを表しています。
 (実例)



2.表示レイアウトの改善―原材料と食品添加物を区分表記

 表示可能面積30cm2以下の場合でも、安全性に関する表示事項の省略ができなくなりました。
また、原材料名の一括表示欄には、従来、原材料に続いて食品添加物名が使用量の多い順に明確な区分なく記載されていましたが、新しい表記法では、原材料と食品添加物との間を、スラッシュ( / )などで区分するようになっています。スラッシュのほかに、改行、線で上下に区切るなどさまざまな方法があり、どこからが添加物であるか一目で分かるように改善されています。
(実例)


3.アレルギー表示は個別表示が原則に

 アレルギー表示に関しては、個別表示を原則としますが、例外的に一括表示が認められています。一括表示の場合は、含まれる全てのアレルゲンをまとめて表示するとされています。原材料名蘭に、卵、乳成分、小麦、大豆が表示されていても、新表示では省略できなくなるため、重ねて表示されます。旧表示では「(原材料の一部に大豆を含む)」などと省略表示ができましたが、新表示では省略できなくなったため、「(一部に卵・乳成分・小麦・大豆を含む)」と表示することになります。アレルギー患者に情報がはっきり届くよう改善されています。
 (実例)

4.加工食品と生鮮食品の区分統一

 法律によって異なる食品区分を、JAS法の様式に統一し、簡単な加工は加工食品に整理されました。新基準では「乾燥、軽度の撒塩、調味」したものは加工食品の分類に変更され、例えば乾燥果実のドライマンゴーは食品衛生法では生鮮食品でしたが、JAS法に合わせ加工食品の扱いになります。
 「加工食品」は、「製造または加工された食品」と定義され、具体的な品目は「食品表示基準」別表第一に掲載されています。
 また、「生鮮食品」は、「加工食品及び添加物以外の食品」と定義され、単に水洗いや切断、冷凍したもの等が該当し、具体的な品目は「食品表示基準」別表第二に掲載されています。
 別表第二では「調整」「選別」された農産物も生鮮食品としていますが、この場合の「調整」とは、生産者による収穫後の作業の一環として行われる大豆の乾燥行為なども含み、乾燥大豆は生鮮食品に分類されます。このように加工食品と生鮮食品の分類はわかりにくく、一般消費者の感覚とはかなり異なりますので、個別の具体例を見て判断することが求められます。
 また、混合、盛り合わせの場合には、同種混合は生鮮食品、異種混合は加工食品になります。例えば、キャベツの単品カット野菜は生鮮ですので、「原産地」表示が必要ですが、キャベツとニンジンのサラダミックスでは異種混合で「加工食品」となり、「原料原産地名」が必要になります。

5.製造所固有記号ルールの改善

 加工品では、製造所所在地・製造者氏名等の表示が食品衛生法で義務付けられていましたが、それは食中毒等の飲食に起因する衛生上の危害が生じた場合に、都道府県知事等が、その原因となっている食品等の製造所所在地・製造者氏名を把握し、危害の拡大防止を図るためのものです。しかし、表示スペースの問題などで、例外的に「製造所固有記号」による表示の省略が認められ、メリットの多さから様々な製品での導入が進んできました。
 今回の新基準では原則に立ち帰り、製造所固有記号の使用は例外的に「同一製品を複数の工場で製造する場合にのみ使用が認められる」ことになりました。また、製造所固有記号を用いる場合は、「所在地等の連絡先」「所在地を表示したウェブサイトのアドレス」「製品製造を行っている全ての製造所所在地」のいずれかを表示する必要があります。
 なお、この製造所固有記号の新ルールに限り、データベース構築作業の遅れから、2016年4月1日からの施行となり、猶予期間は4年間となっています。また、「旧基準と新基準の混在を認めない」という原則に対し、製造所固有記号のみ旧基準も許容することになっています。そこで混乱を避けるために、新たな製造所固有記号制度においては、(+)を冠して製造所固有記号を表示する取扱いとなっています。
(実例)                
  消費期限 16.08.17/VZ
  製造所固有記号 +FHI
  ← 旧表示です
(新表示例)
  ABC食品株式会社 +ABC123  ← 新表示です
  広島市西区○‐△‐□□ 

◎今後の検討課題

 新法はひとまず施行されましたが、今後も表示に関する検討課題として、原料原産地、遺伝子組換え、添加物などがあげられています。
また、インターネット販売の食品はネット上での表示の義務付けがなく、購入後に原材料やアレルギーなどの情報がわかるという現状なので、これらもガイドラインを作ろうという動きもあるようです。これからも食品表示は時代に応じて見直されることになるでしょう。

 

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