HOME > 食と安全 >選食力を身につけよう!(その19)-食物酵素が消化を助ける-  
選食力を身につけよう!(その19)-食物酵素が消化を助ける- 

NPO日本食育インストラクター・食育実践プランナー
広島市歯科医師会顧問
小松 昭紀


体内酵素と外部酵素

 体内での化学反応に対し、その反応スピードを速める触媒として働くのが「酵素」と呼ばれる物質です。その酵素のうち、人の体内で合成されるものを「体内酵素」と呼び、食物として外部から取り入れるものを「外部酵素」と呼んでいます。

・体内酵素―代謝酵素と消化酵素
 体内で合成される体内酵素は、代謝酵素消化酵素の2つに大きく分類されます。
 代謝酵素は、①体温や血圧を一定に保ち、免疫や自然治癒力を維持する、②細胞の再生や修復、神経やホルモンのバランスを調整する、といったように、あらゆる基本的な生命活動の根本を支える酵素です。
 一方、唾液や胃液、膵液などの消化液に含まれるほか、腸内細菌によっても作り出される消化酵素は、栄養素を吸収できるように食べ物を消化するという役割を専門にしています。
 生まれたばかりの時は誰でも体内酵素が十分に合成されますが、一生で作られる酵素の量は決まっていて、年齢と共に減少するといわれています。体内酵素が欠乏すると、栄養素が十分に吸収されない、体内の解毒・排泄機能が低下する、神経伝達やホルモンのバランスが崩れる、免疫力や自然治癒力が低下するなど、生命維持のための活動に支障をきたします。

・外部酵素―食物酵素
 一方、外部から摂り入れる外部酵素としては、食物酵素があります。食物酵素は主に、体内で分泌される消化酵素をサポートする役割を担っています。生の食物(野菜や果物、生肉、生魚など)に豊富に含まれる酵素で、タンパク質、脂肪、炭水化物という3大栄養素それぞれの消化を得意とする酵素が存在します。

 食物酵素でよく知られているのは大根に含まれている消化酵素のアミラーゼですが、アミラーゼはでんぷんの消化を助け、胃もたれを解消します。口の中でご飯を噛んでいると、どんどん甘くなっていきますが、これは唾液中のアミラーゼによってでんぷんが分解され、甘味のある麦芽糖ができるからです。その他にも消化促進成分のジアスターゼ脂肪分解酵素のプロテアーゼなど消化を助け促進させる酵素がたっぷり含まれています。
 また、果物のパイナップルには、たんぱく質分解酵素プロメリンが含まれており、キウイフルーツには同じくアクチニジンが含まれていますので、肉魚料理と一緒に食べたり、食後にデザートとしていただくと、消化吸収を助けて胃のもたれや胸焼けを防ぐ効果があります。
 パイナップルやキウイフルーツを食べ過ぎて、舌がヒリヒリしたという経験はないでしょうか。これは、これらの果物に多く含まれるたんぱく質分解酵素によって舌が消化されてしまった結果です。果物に限らず、このような酵素は本来あらゆる食品に含まれるもので、総称して「食物酵素」と呼ばれています。
 食物酵素は、胃液に含まれる強酸性の塩酸(胃液)によって、その働きが完全に失われてしまうというのが従来の考え方でしたが、最近の研究では、胃の上の部分では消化酵素が分泌されず、食物酵素が胃酸の影響を受けずに食べ物の消化を開始することが分かってきました。また、胃酸によって働きが停止した食物酵素は、小腸に到達すると再び働きを取り戻し、未消化の栄養素の消化を助けるともいわれています。
 つまり、食べ物自体に含まれている酵素で前もって消化が行われれば、体内で消化酵素を分泌する量も少なくて済むということです。体内酵素は一生で合成できる量が決まっていると言われています。ということは、体内酵素の内の消化酵素を節約できれば、その節約分をもう一方の代謝酵素の合成にまわすことができると考えられるわけです。現代人には、病気には至らなくてもさまざまな不調を抱えている人がたくさんいますが、これは、代謝酵素の不足により、細胞の一つひとつが正しく機能できない状態にあることも、原因の一つと考えられます。
 消化酵素と代謝酵素は、どちらが不足しても体にとって大きなダメージになります。たとえば、消化酵素が足りないと、未消化のままたんぱく質が小腸に運ばれ、腸内で有害な物質が発生することになります。代謝酵素が不足すれば、疲れがとれなかったり、肌がカサカサしたり、体調をくずしやすいといった症状が現れてきます。どちらも、常に必要な分を満たしておかなければなりません。
 酵素はたんぱく質などから人間の体内で合成でき、ある程度は備蓄できるのですが、その量には限界があります。特に、最近のように飽食やストレスフルな生活が続くと、酵素は常に不足状態になります。それを解消してくれるのが食べ物に含まれている食物酵素なのです。
 食べ物には、生であれば必ず酵素が含まれています。その酵素を有効利用することで体内の酵素が節約でき、備蓄が枯渇するのを避けることができるのです。ただし、気をつけなければならないのが、酵素はたんぱく質なので、48℃以上になると変性し、酵素としての力がなくなってしまうということです。野菜は生で食べてはじめて、その酵素を利用できるのです。


食べ物に含まれる酵素が消化を助ける

 生の肉を熟成させると、うまみが増します。これはたんぱく質の一部が酵素で分解されてアミノ酸ができるからです。また、料理の本などに、かたい肉をキウイフルーツに漬けておくとやわらかくなるとありますが、これは、キウイフルーツに含まれるたんぱく質分解酵素アクチニジンの働きによるものです。お餅に大根おろしをからめた“からみ餅”が理にかなった食べ方といわれているのは、大根にでんぷんを分解する酵素のジアスターゼが含まれているからです。
 このように、どの食材にもさまざまな酵素が含まれています。そしてそれらの酵素は、キウイや大根の例を見てもわかるように、主に消化を助けてくれます。胃の中で本格的な消化活動に入る前に、食べ物の酵素でプレ消化が行われているのです。そのお陰で、本来なら100必要であるはずの消化酵素が70~80で間に合うということです。
 体内には、酵素のプールのようなものがあって、消化酵素になるか代謝酵素になるかは、その時々の体の状態によって臨機応変に決められています。ですから、体が今は消化酵素が必要だと判断すれば、消化酵素が増える。それは、同時に代謝酵素が減るということを意味しています。これは体にとっては避けたい状況です。ですが、生の食べ物からの酵素が消化酵素の役割を補ってくれたら、消化酵素に回っていた分の酵素は代謝酵素として働くことができ、消化酵素も代謝酵素も不足することが避けられます。生の食べ物から酵素を補うことで、生命活動が滞らずにスムーズにまわっていくことができるのです。

酵素が減ると老化現象が進む?

 酵素は年齢とともに着実に減少していきます。老化現象と言われているものには、酵素の欠乏が関連しているものが多々あります。現在わかっているだけでも約4000種類酵素があると言われていますが、そのうちの一つにネプリライシンという脳内酵素があります。代謝酵素の一種で、備蓄されている酵素が少なくなると、当然ながらネプリライシンも減ってきます。この酵素は記憶にかかわっているため、これが欠乏すると脳の働きに影響を及ぼします。最近、記憶力が落ちてきたと感じている人がいたら、酵素不足の可能性があります。生の食品を食べて、体内に酵素をたっぷり蓄えておきましょう。食事全体の2割は酵素を含む生の食べ物にするのが理想的で、その2割のうち半分は野菜、残りの半分は果物で摂るのがベストです。
 高齢者は歯が弱くなったりして生野菜を敬遠しがちですが、もっと食べる努力をしたほうがいいでしょう。酵素が減ってくると、脳はもちろん、さまざまな体の機能低下に拍車がかかってしまいますから、生ではどうしても食べにくいというのであれば、ジュースにするのもいいでしょう。ただし、市販されているジュースは加熱処理されているのであまり意味はありません。新鮮な生の食材から手作りするのがベストです。
 酵素がたくさん入っているのは、生の野菜や果物ですが、菌が生きている味噌や納豆、ぬか漬けなどの発酵食品にも酵素が入っています。
 温野菜はかさが減ってたくさん食べられるというメリットがありますが、野菜に含まれている酵素が失われてしまうので、野菜は生で食べることも必要です。また、酵素には脳の働きに影響を及ぼすものもあるので、体内の酵素が減る中高年の人ほど毎日、生の食品を食べるよう心掛けましょう。

最善の方法は“生で食べる”

 消化酵素の浪費は体にとって大きなマイナスです。食物酵素の恩恵を受けるためには、実は食べ物をできるだけ生の状態、もしくは生に近い状態で摂取する必要があるのです。体内酵素も食物酵素もタンパク質ですから、熱を加えると変質してしまうのです。これでは酵素の働きが期待できなくなります。
 酵素栄養学では、食物中の酵素は53℃以上に加熱されると働きが低下し、活力が失われてしまうといわれています。普段の生活では、こんな低い温度に抑えて調理することなどほとんどありません。焼く、炒める、揚げる、煮る、茹でる、蒸すといった調理方法はすべて100℃、あるいはそれ以上の温度に達します。そう考えると、食物酵素を効率よく得るための最善の方法は、“生で食べる”ということになるわけです。しかし“50℃で2分の加熱”ならば、酵素は生きたままの状態を保てます。

・低温スチーミング
 最近の研究では、野菜類などの食材は適温で加熱することで酵素が活性化し、栄養価も増し、やわらかくおいしい状態になることが発見されています。それは「低温スチーミング」といい、100℃以下の40~95℃の比較的低い温度で蒸す調理法です。低温スチーミングの適温は、素材によって主に85~95℃の比較的高い温度帯と、70~80℃くらいの温度帯、50~60℃の温度帯の3つに分けられます。この方法の長所は、①熱による栄養分の破壊が少ない、 ②食材の細胞壁が破壊されず、食感が残る、 ③エキスの流出が少なく旨みや糖度が増す、 ④アクの生成が少なく、本来の香りが増す 、⑤酸化しにくく腐敗菌も殺菌されるため、食材が長持ちする 、⑥味が浸透しやすくなる、などです。調理法も工夫次第です。

・「50℃洗い」
 この低温スチーミングの研究中に発見されたものが、「50℃洗い」という、野菜や果物をはじめ、肉や魚介類などあらゆる食材を50℃のお湯につけて洗う方法で、最近テレビや雑誌などで度々紹介され注目されています。水洗いでは、食材の菌数を減らすことはできませんが、この「50℃洗い」を行うと、食材の菌数が1/10になることが実証されています。

・野菜や果物のすりおろし効果
 野菜や果物はすりおろしたり、酢漬けにしたりすると、酵素力がさらにアップします。調理方法の工夫で酵素のパワーが引き出せるのです。最近の研究では、野菜をすりおろすと酵素が活性化され、その働きが2~3倍にも、時には10倍にもなることがわかってきました。すりおろし野菜は細胞膜が壊れるので、普通に咀嚼して食べるよりも、中に含まれる酵素を摂りやすくなります。
 すりおろして食べる野菜としては、大根、山芋、ニンジン、ショウガ、ニンニクなどがポピュラーですが、キュウリやキャベツ、カブ、さらに、タマネギやジャガイモ、サツマイモなどもおすすめです。
 すりおろし野菜は、なるべく皮をむかないですりおろしたほうが、野菜に含まれる酵素やその他の栄養素を無駄なく摂ることができるので、皮ごと食べても安心な野菜を選びましょう。また、野菜をすりおろすときは、セラミックかプラスチック製のおろし器がおすすめです。金属製のものですりおろすより酸化しにくく、使った後の後片付けも楽です。すりおろして時間が経つと、野菜は酸化してしまったり、酵素が失われたりしますので、なるべく食べる直前にすりおろすようにしましょう。
 アメリカのジョンズ・ホプキンズ医科大学のタラレー教授は、1992年に「アブラナ科の野菜がガン予防に効果を発揮する」ことを発表しました。アブラナ科の植物には、キャベツ、大根、カブ、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、小松菜などの野菜が含まれます。これらの野菜には大変強力な抗酸化物質が含まれていて、すりおろすとより活性化します。大根やカブなどのすりおろしを毎日食べれば、ガンの予防につながるでしょう。

生食を上手に取り入れる

 漬物や酢の物、和え物、刺身をはじめ、日本や韓国では幸いにも昔から生で食べる習慣があり、発酵文化も深く根付いています。“火食か生食か”の二者択一ではなく、普段の食事に生食を上手に取り入れてこそ、豊かな食生活といえるのではないでしょうか。
 生食のおかずは、生野菜が主な材料です。当然ながら、豊富な酵素をイキイキした状態のまま体内に取り込むことができます。もちろんビタミン、ミネラル、ファイトケミカル、食物繊維などの栄養素もしっかり摂れます。
 また、生野菜は噛みごたえのあるものが多いので、自然にしっかり噛んで食べる習慣がつきます。そのため、満腹感が得られやすくなり、余分な脂質を摂ることもなく、ダイエット効果が期待できます。
 猫を使ったある実験があります。猫を2つのグループに分け、片方のグループには100%生の餌、もう片方のグループには生の餌1/3と加熱した餌2/3をそれぞれ与え、何世代にもわたって観察を続けました。すると、生食グループの猫はいたって健康で、後の世代にも何ら問題は発生しなかったのに対し、加熱グループでは凶暴化など性格の変化、不妊や流産、免疫力の低下など、さまざまな異常がみられたというのです。
 また、生まれてきた子猫には、先天異常、骨や歯のトラブル、心臓疾患、甲状腺異常、関節炎、神経性疾患、呼吸器疾患、皮膚疾患などが現れ、世代交代と共に深刻化していったと記されています。3世代目では何と100%の猫がアレルギーを持っていたというありさまです。
 加熱した餌は食物酵素が破壊されています。そんな餌ばかり食べ続けた猫は、体内酵素の多くを消化に動員せざるを得ず、代謝酵素が不足してしまったために心身に異常をきたしたのだと考えられます。それに対し、生の餌には食物酵素が豊富に含まれており、消化の負担が和らいだ分だけ代謝酵素が力を発揮し、猫の健康が維持されたと推測できます。
 それにしても、加熱グループの餌の一部は生のままであったにもかかわらず、生食グループの健康状態とこれほどの差があったという事実、またその影響が次世代にも及び、だんだんひどくなっていった様相は、まるで現代社会の惨状を映し出し、私たちに警鐘を鳴らしているかのようです。医聖と呼ばれるヒポクラテスも「火食は過食に通じる」と戒めています。
 現代の日本人の死因の約3割は悪性新生物によるもので、死因の1位となっていますが、動物性たんぱく質の過剰摂取はがんとの関連性が強く、ステーキや焼肉のような加熱調理した肉類ばかり食べて、生野菜や果物などをほとんど摂らない人は、大腸がんにかかるリスクが高いというデータがあります。
 生野菜や果物、発酵食品などの酵素たっぷりの食事を心掛けていると、食物の消化・吸収がよくなります。また体内の老廃物が規則正しい排便できちんと排出され、腸内には免疫力を高めてくれる善玉菌が増えていきます。酵素食を続けていると、自然とがん等の病気を遠ざける食習慣が身につきます。「医食同源」の言葉のごとく、人間の健康状態は、毎日食べているもので決まるといっても過言ではありません。


動物性たんぱく質はあくまでも補足

 肉はときどき食べるのがいいと思います。それは、体内でアミノ酸がどのような使われ方をしているのかわからず、植物性たんぱく質だけではアミノ酸バランスがくずれてしまうことがあるからです。
 たんぱく質は数種類のアミノ酸から合成されますが、合成できるたんぱく質の量はその中のアミノ酸の低いほうのレベルで決まります。したがって、あるアミノ酸が少ないとそれに見合った分しかたんぱく質が合成されませんから、場合によってはたんぱく質が不足することがあります。それを避けるために、少量の動物性たんぱく質を補って、アミノ酸の欠落を防いでおこうというわけです。
 しかし、動物性たんぱく質をとりすぎると、アミノ酸全部の値が上がり過ぎてしまって害になります。だから、ベースは植物性たんぱく質にし、どうしても欠落するアミノ酸の予備のために、少量の動物性たんぱく質を補うというのが賢い食べ方と言えるでしょう。

動物性たんぱく質の食べ合わせ


 動物性たんぱく質をとるとき、食べ合わせにも注意が必要です。まず、牛肉と鶏肉、あるいは魚と豚肉など、2種類以上の動物性たんぱく質を同時に食べないことです。
 どれも動物性たんぱく質という点では仲間ですが、まったく異質なたんぱく質です。したがって、人間の体内に入ってからの消化のされ方も違います。胃は、異なる種類の肉が同時に胃の中に入ってきたら、どれに合わせて消化したらいいのか混乱し、結局どちらも完全に消化されないまま腸に運ばれることになってしまいます。未消化のたんぱく質が体にとっては有害になるのです。
 もう一つ、大量の炭水化物と一緒に摂ることもなるべく避けたほうが賢明です。こちらのほうは、2種類のたんぱく質を同時にとることほど神経質にならなくても大丈夫ですが、体が弱っているときにはぜひ守ってください。そのほうが、体に負担をかけずに済みます。
 肉の消化・吸収には、多くのエネルギーや酵素を必要とするため、スタミナをつけるどころか元気を奪われてしまいます。持続可能な活力という意味での本来のスタミナをつけたいときは、良質な植物性たんぱく質を含んだ豆類や種実、酵素も補ってくれる緑黄色野菜を食べましょう。
 また、発酵食品も有益です。発酵食品は食物酵素の塊のようなものです。例えば漬物はもともと生の野菜を使うわけですが、発酵させることでさらに食物酵素が増えます。納豆や味噌は原料となる大豆や米をいちど加熱してしまうものの、やはり発酵によって非常に優秀な酵素食品となります。
 納豆やみそ、漬物、醤油、ヨーグルトなどの発酵食品には、酵素がたっぷり含まれています。腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を少なくする作用があります。善玉菌が豊富で活発な状態だと、腸内環境は正常に保たれます。

発酵食品が体にいい理由

1) 腸内の善玉菌を増やし、便通を整える
 動物性タンパク質や脂質の多い食生活を続けていると、腸内環境が乱れ、悪玉菌が増えてきます。そこで発酵食品を摂って腸内の善玉菌(乳酸菌など)を増やしてあげると、悪玉菌が減り、便通もよくなります。

2) 免疫力が高まり、病気になりにくくなる
 腸は人体最大の免疫器官です。腸内環境を発酵食品に含まれる乳酸菌などの善玉菌で整えている
と、免疫力がアップし、風邪や肺炎をはじめ、さまざまな感染症にかかりにくくなります。

3) 発がん性物質を追い出してくれる

 腸内の悪玉菌の中には、腸内に残った食べ物のカスなどを腐敗させ、発がん物質にしてしまうも
のがあります。発酵食品をたっぷり食べていれば、善玉菌が増えるので、がんの予防にもつながり
ます。

4) アレルギー体質が改善できる

 アトピー性皮膚炎や喘息などは、食べ物が原因で起こることも多いものです。食物アレルギーには、腸壁の荒れが大きく関係しています。腸内の善玉菌を増やし、腸壁を修復していけば、アレルギー症状も緩和されていきます。
 そこで毎日摂りたいのがこれらの発酵食品です。発酵食品に含まれる乳酸菌には、動物性乳酸菌と植物性乳酸菌があります。特に、野菜の漬物や納豆、味噌などに含まれる植物性乳酸菌は、生きたまま腸に届きます。ぜひ植物性乳酸菌が豊富な発酵食品を毎日の食卓に添えましょう。
 60年くらい前の日本の食卓には、味噌や醤油、納豆、漬物などの発酵食品が毎日並んでいました。残念ながら現代の日本では、これらの食品の摂取量は減ってきています。今長生きしているシルバーエイジの人たちは、発酵食品たっぷりの食事を成長期にしてきたから、いつまでも元気なのかもしれません。

酵素食を引き立てる調味料も選びましょう

 酵素たっぷりの野菜などの素材だけでなく、前回にも述べましたが調味料も体にいいものを選びたいものです。

「塩」:塩にはいろいろなタイプのものがありますが、野菜などの素材の味を引き立てるなら、化学的に精製されていないミネラル豊富な自然な塩がおすすめです。ただし汁物に入れるときは、粒子の粗い岩塩だと溶け切れずに残ってしまうことがあるので、天日干しの海塩の方がいいでしょう。
 高血圧の原因になるのは、塩化ナトリウム99%以上の精製塩です。自然塩には、塩化ナトリウムのほかに硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムといったほかのミネラル類が、約5~10%含まれています。ミネラルバランスのとれた自然塩なら、そのリスクは下がります。健康を考えたら、毎日使う基本調味料の塩、味噌、醤油は、伝統製法で丁寧につくられた上質なものをそろえましょう。

「醤油」
:昔ながらの長期熟成方法で作られたものがおすすめです。また原料の大豆が「遺伝子組み換え」ではない、添加物を使っていないこともポイントです。加熱処理をしていない生醤油も最近見かけますが、酵素が生きているので風味がよくおいしくて生食によくあいます。

「味噌」:味噌も醤油と同様に、原材料の大豆や米が安心できるものかどうかをチェックして選びましょう。麦みそ、赤みそ、白みそなどいろいろな種類がありますが、料理の種類に応じて、自分の好みで選びましょう。また、甘味のある白みそは、家庭でも簡単に作ることもできます。

「油」:サラダ油、オリーブオイル、ごま油など、いずれも安心できる素材と製法のものを選びましょう。亜麻仁油やエゴマ油には必須脂肪酸の「α‐リノレン酸」(オメガ3)が豊富なので積極的に摂取しましょう。酸化しやすいので加熱は避け、ドレッシングなどに使いましょう。

「ごま」:ごまには生のままの「洗いごま」と、炒った「炒りごま」があります。「洗いごま」のほうが酵素が生きているので、おすすめです。また、ごまには抗酸化作用のあるセサミンが含まれ、すりごまにすると体内に取り入れやすくなります。ただし時間が経つと酸化してしまうので、すぐに食べるようにしましょう。

「甘味料」:料理の甘味づけには、砂糖よりも天然素材のハチミツやメープルシロップを使いましょう。白砂糖は血液を汚す原因になります。砂糖を使うなら、てんさい糖や黒砂糖のほうが、白砂糖よりはミネラルなどの栄養分がやや多いのでおすすめです。

代謝を活性化して病気予防

 人類は文明の発展と共に火を使うことを覚え、加熱調理した食事をするようになっていきました。これには、硬い食材をやわらかくしたり、食中毒や寄生虫による害を予防したり、寒い季節に温かいものを食べて体温を保ったりといったさまざまな利点がありました。
 しかしその結果、体内酵素の多くを消化酵素に割り当てなければならなくなり、体を機能させるための代謝酵素が少なくなったことから、さまざまな病気が増え始めたとも考えられています。つまり、食べ物から酵素を十分に補えば、体内酵素の大半を代謝活動にまわすことができ、それによって多くの病気を予防できる可能性があるのです。
 食べ物の消化には相当な量のエネルギーを必要とします。つまり、加熱調理や精製加工によって食物酵素が失われたものばかり食べていると、体にとって余分な仕事が増えてしまうのです。

▲このページの上部へ
tml>