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選食力を身につけよう!(その22)-健康維持に植物に含まれる「第7の栄養素・フィトケミカル」の摂取を- 


NPO日本食育インストラクター・食育実践プランナー
広島市歯科医師会顧問
小松 昭紀

 

第7の栄養素として注目される「フィトケミカル」

 炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素に加え、食物繊維が第6の栄養素といわれていることは前々回述べました。これら6つの栄養素に加え、第7の栄養素として注目されているのが、野菜や果物に含まれている「フィト(ファイト)ケミカル」(phytochemical)です。野菜や果物に含まれる色素あく、辛味、苦味、香りなどの成分のことで、ギリシャ語の植物を意味する「phyto(フィト又はファイト)」と英語の化学物質を意味する「chemical(ケミカル)」という語から成る造語です。その数約1万種類にも上るといわれ、フラボノイド系だけでも3000種類以上が見つかっており、現在さまざまな研究が進められています。まだ、そのすべてが解明されているわけではありませんが、最近話題になっているポリフェノールフラボノイド、カロテノイドのほか、セサミン、カプサイシン、β‐グルカンなどもフィトケミカルの一種です。
 フィトケミカルは、一般的な意味では、通常の身体機能維持には必ずしも必要とはされませんが、病気を予防したり健康を維持するのに重要と考えられるものです。必須栄養素とは異なり、通常の代謝には必要ないので、摂取しなくても欠乏症が起こることはありません。
 ポリフェノールといえば、赤ワインやブルーベリーに含まれるアントシアニンやお茶のカテキン、大豆のイソフラボンなどがよく知られています。カロテノイドはニンジンやカボチャのβ‐カロテン、トマトのリコピンなどです。フィトケミカルは、私たちの健康にとって重要な働きをしています。
(抗酸化作用のある食材)
 *野 菜 類:トマト、たまねぎ、じゃがいも、にんじん、春菊、にんにく、ブロッコリー、
       小松菜、赤ピーマン
 *果 物 類:グレープフルーツ、レモン、イチゴ、いよかん、ブドウ、キウイフルーツ、
       アボガド、バナナ、ブルーベリー
 *飲み物類:赤ワイン、豆乳、紅茶、緑茶、コーヒー

 

植物の生きる力「フィトケミカル」を摂り入れる

 活性酸素に対抗できる食品の一番手として注目を集めているのが、植物の「フィトケミカル」です。フィトケミカルとは、植物が生きるために強い紫外線を遮断したり、細菌などの有害なものを無害化する働きを有した化学物質です。つまり”植物の生きる力”そのものと言えるでしょう。このフィトケミカルは、人間の体内でも同様に働いて、活性酸素を取り除き、体の免疫力を高め、がんなどの病気の予防に役立つものと期待されています。
・健康維持に野菜の力・フィトケミカルの摂取を!
 私たちの食生活と切っても切れないのが、野菜と果物。このところ、ファーストフードやコンビニ弁当を利用する人が増える一方で、野菜や果物を摂る人が減ってきました。もともと、野菜や果物には私たちが健康を維持するために必要なビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。近年、健康との関係から、にわかに注目されているのが野菜の持つ植物性化学物質「フィトケミカル」です。
 最近の疫学的研究により、果物や野菜に含まれる「フィトケミカル」がんの危険性を減少させるという知見も得られています。他にも、血流促進、血圧上昇の抑制、ホルモンバランスの調整、抗酸化作用などの報告がされています。フィトケミカルを摂取することで体内のさまざまな生理機能を高めたり、抗酸化作用などを介してその効果が発揮されるのです。今後アンチエイジングやがんのリスクを下げるなど、大いにその効果が期待されています。
・目立つ野菜離れ
 最近、家庭菜園や市民農園で野菜や果物を作る人が増えてきました。野菜は、生活習慣病やがん予防に期待できるなど健康によいといわれていますが、気になるのが日本人の野菜摂取量です。厚生労働省は、1日当たりの野菜摂取量の目安として350g以上を摂るよう勧めていますが、以前にも見てきたように、日本人の野菜摂取量は、増えるどころか逆に減っているようです。1968年当時の摂取量は、1人当たり1日394g程度でしたが、2011年には277gと大幅に減っています。共働きの増加で、調理に時間のかかる野菜の煮物などが敬遠されたのも一因でしょう。もともと、日本食は野菜を多く取り入れている点が特徴で、日本人は野菜をたくさん食べて世界トップクラスの長寿国家を築いてきたともいえます。野菜を食べなくなると、今後の日本人の健康が心配されてきます。
 日本人が野菜を食べなくなったのは、食生活の欧米化が進んできたことが大きいようです。元来、日本食はコメを主食に野菜をふんだんに使い、魚介類や海草、豆類などを多く取り入れているのが特徴です。それが肉類中心の食生活に変わった頃から、野菜の摂取量が減ってきました。欧米と比べても、すでに10年以上前から日本人の野菜摂取量はアメリカ人のそれを下回っています(農林水産省「食料需給表」)。
 かつて心臓病やがんなどの急増に悩んだ米国は、「デザイナーフーズ・プログラム」“1日に5皿以上の野菜と果物を食べよう”という『 5 A DAY 運動 』を推進してきました。高カロリー、高脂肪の食生活を見直し、野菜、果物を中心とする食生活に切り換える運動に国をあげて取り組んだ結果、国民の野菜摂取量が飛躍的に増えたのです。
 日本人が野菜を食べなくなった背景には、食の欧米化に加え、ファーストフードや加工食品、冷凍食品などが次々登場したこともあるでしょう。こうした食品は、確かに手間暇かからず早くて便利なのですが、なぜか野菜など伝統的な日本の食の原点を忘れているような気がしてなりません。野菜は、私たちの命を支える大切なビタミンやミネラルを豊富に含んでいますが、最近健康との関係で話題になっているのが「フィトケミカル」です。
・抗酸化物質が体を守る
 活性酸素は大量に発生した時はもちろんのこと、適量が体にとって有益な働きをする場合でも完全に無害というわけではなく、適切に処理する必要があります。その際に活躍するのが活性酸素を無害化する抗酸化物質です。活性酸素と一口にいってもさまざまなタイプがあるほか、それらのタイプごとに対応する抗酸化物質にもいろいろな種類が存在し、働きや仕組みもそれぞれ異なります。
 抗酸化物質には、抗酸化酵素、ビタミンCやE、β‐カロテン、大豆イソフラボンといったフィトケミカル、コエンザイムQ10(補酵素)、メラトニン(ホルモン)など、さまざまな物質があります。
*代表的な抗酸化物質:( )内はその物質を含む食品の例
  「抗酸化酵素」:カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、
  グルタチオンペルオキシダーゼ
  「補酵素など」:コエンザイムQ10( ほうれん草、アボガド、いわし、さば )
   「α‐リボ酸」:( じゃがいも、トマト、ブロッコリー、牛レバー )
  「抗酸化栄養素」
   抗酸化ビタミン
    ビタミンA ( 小松菜、人参、ねぎ、キャベツ、鱧、鮎、鰻 )
    ビタミンB6 ( 小豆、ごま、空豆、卵黄、鮭、さんま、鶏肉 )
    ビタミンC ( レモン、ゆず、柿、ピーマン、パセリ )
    ビタミンE ( しそ、アボガド、かぼちゃ、ししゃも、たらこ )
  抗酸化ミネラル
     亜 鉛 ( 玄米、納豆、ココア、鰻、牡蠣、肉 )
     セレン ( 玄米、鰹、いわし、牡蠣 )
  「植物化学物質(フィトケミカル)」
    カテキン ( お茶 )
    アントシアニン( ブルーベリー、なす、桃、小豆、黒豆 )
    ルチン( 蕎麦、なす、ほうれん草、アスパラガス )
    リコピン( トマト、京人参 )
    β‐カロチン( ひじき、三つ葉、ねぎ、人参、さつまいも )
    フィチン酸( ごま、玄米 )

 たんぱく質とミネラル(鉄、亜鉛、銅、マンガン、セレンなど)でつくられる抗酸化酵素には、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンぺルオキシダーゼといったものがあり、これらが連携してスーパーオキシドラジカルと過酸化水素を消去してくれることがわかっています。ですが、一重項酸素とヒドロキシラジカルを消去する抗酸化酵素はありません。そこで、威力を発揮するのがビタミン類です。酸化力が強い活性酸素を無害化するには、還元してしまうのが最も有効な手段です。ビタミンCやEは、活性酸素に電子や水素を与えて還元させることで、体液中の活性酸素を消去したり、細胞膜を守ったりするのです。抗酸化酵素を活性化する働きもあります。
 ただ、抗酸化酵素は年齢とともに生産量が減りますし、活性酸素の発生量が異常に増えれば抗酸化物質の量が追い付かずに無害化しきれなくなってしまいます。その上、野菜類の低栄養化と摂取量の低下の影響で、一般に体内に取り込める抗酸化物質の量が不足しがちになっています。活性酸素の発生量が増えているまさに今、私たちの身体に必要なのは抗酸化物質を増やすことなのです。
 それと、日本人に不足しているのが食物繊維です。厚生労働省は成人で男性は1日19g以上、女性は17g以上の食物繊維を摂るよう勧めていますが、日本人の摂取量は14g程度に過ぎません。食物繊維は腸の活動を刺激して便通を整える一方で、腸内の有害物質を排泄し、糖質やコレステロール、塩分の吸収を緩やかにします。このため、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病や大腸がんの予防などにもよいと言われていますから、食物繊維を多く含む玄米、ゴボウ、ニンジン、山芋、ダイコンなどの野菜を積極的に摂るよう心掛けていただきたいものです。
 日本人に足りないものといえば、果物もそうです。厚生労働省は、1日当たり200gの果物を摂るよう勧めていますが、実際の摂取量は約110g程度。先進国の中では最低レベルといわれています。果物は、ビタミンをはじめミネラル、食物繊維などを含み、肥満、糖尿病などの生活習慣病予防や美容にもよいことはよく知られているところです。
 果物は糖度が高く、肥満の原因になるとの誤解もあってか日本では食べる人が少ないようです。ところが、健康・体力づくり事業財団が100歳以上の百寿者を対象に行った「百寿者のくらし調査」では、果物が「刺身」や「甘いもの」を引き離してダントツにトップでした。しかも、男女とも約6割が「ほとんど毎日」果物を食べていると答えていました。果物に含まれているビタミンCや食物繊維などの健康効果を百寿者たちは本能的にわかっていたのかも知れません。
●百寿者の「一番好きな食べ物」ランキング
  1位 果物………18.5%
  2位 魚…………12.3%
  3位 甘いもの…10.7%
  4位 刺身……… 9.5%
  5位 寿司……… 6.4%

 さらに、食卓にはなるべくたくさんの色を並べるようにしたいものです。つまり「レインボウベジタブル」です。食材の色が何色並んでいるか、目で確認できる栄養バランスの指標といえます。赤はトマトやパプリカ、緑はブロッコリー、レタスなどの葉物野菜、黄色はカボチャ、白はダイコンやカブ、紫はナス、茶色はゴボウ、黒はゴマ、さらに果物や肉、魚介類にもみな色があります。毎食、7色揃えるのは無理でも、できるだけカラフルな色を揃えることが見た目にも楽しく、バランスのいい食生活を送る秘訣です。
 オメガ3やオメガ6といった不飽和脂肪酸は、活性酸素の恰好の餌食になります。生命が、このように活性酸素のダメージを受けやすい不飽和脂肪酸を細胞膜の材料として選択した理由は謎とされていますが、生命に不可欠な細胞内のDNAやミトコンドリア、そしてタンパク質や炭水化物などの栄養素を活性酸素のダメージから最優先で保護するための、いわば「自己犠牲的な対策」なのではないかとする説もあります。
 ビタミンEは、このような不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ代表的な栄養素ですが、ビタミンEが抗酸化物質としての役目を終えて再生されないままでいると、今度はそのビタミンE自身が細胞膜などの過酸化反応を促進してしまう場合があります。このとき、コエンザイムQ10やα‐リポ酸、ビタミンCなどが十分にあると、このような問題が起こらずにすみます。このように、抗酸化物質はそれぞれ役割を分担することによって、さまざまな状況で生じる活性酸素に対応しているのです。
 本来これらの抗酸化物質は、体内でやむを得ず発生する活性酸素の除去のために優先的に用いられるべきものです。しかし、現代社会では普通に生活を送っていても活性酸素を発生させるさまざまな状況にさらされます。活性酸素が体内で大量に発生してしまうと、そのダメージを完全に回避することは現実的に不可能です。活性酸素の発生源の影響をできるだけ小さくしながら,
それでも増えてしまった活性酸素に見合うだけの十分な量と種類の抗酸化物質を摂り込むこと、これが身体を錆び付かせないようにするために、いま私たちにできる現実的な対応策なのです。
 もちろん、抗酸化物質を大量に摂りさえすれば、どんな生活をしていてもよいということではありません。食事、睡眠を含めた生活習慣のあり方が栄養素の摂取量だけでなく、どのように抗酸化物質を働かせるか、ということにも影響してくるのです。
 私たちは、活性酸素の発生要因をよく認識し、できる範囲でリスクを遠ざけたうえで、さまざまな抗酸化物質を意識して補給する必要があります。抗酸化物質には、活性酸素の発生を防いだり、反応しやすい活性酸素を安定させて反応しにくくしたりするとともに、酸化生成物を無毒化し、損傷した細胞を修復し、損傷が起こった部位に抗酸化因子を送り込むなどの働きがあります。
 ただし、注意を要するのは、ビタミンCやEなどの抗酸化物質をサプリメントでたくさん摂取すればよいと短絡的に考えてしまうことです。人間の身体の仕組みは複雑で、そんなに単純にはできていません。その上、今わかっている抗酸化物質の種類やその働きは、あくまでもほんの一部にすぎません。どんなに科学が発達しても、人間には自分の体内のことを含めて、自然界のよくできたシステムすべてを把握することはできないのです。解明された部分だけをつなぎ合わせて単純な結論を導き出すのは危険きわまりないことです。抗酸化物質を体内に増やすことが有効な手段であるのは確かですが、自然な形で増やすことが重要なのです。
 また、多くのフィトケミカルは、近代的な加工法や調理法を用いた場合には分解されるか失われてしまうと考えられており、このため工業的に加工された食物は生のものに比べて健康への恩恵度(フィトケミカルの含有量)が乏しいと考えられています。
 抗酸化物質のうち、ビタミン類、ミネラル、フィトケミカルなどは体内では生成されませんが、植物に多く含まれています。抗酸化物質を自然な形でまんべんなく摂り込もうと思ったら、いろんな野菜や果物をたっぷり摂ればよいのです。さまざまある抗酸化物質はお互いに協力しながら働くため、それぞれ過不足なく揃わなければ効果が発揮できないともいわれています。ある物質だけ突出して多く摂っても効果が小さいということです。むしろ有害になることもあります。一つの栄養素を抽出したサプリメントや同じ食品ばかりを大量に摂る弊害も、こんなところにあるのです。こうした点も考慮し、抗酸化物質はバランスの取れた食事から摂ることです。
 前回、詳しく見てきたように、私たちの健康は不規則な生活やストレス、紫外線などの影響で発生する活性酸素によって脅かされています。活性酸素は、体をサビつかせて生活習慣病やがん、老化の原因になるといわれています。私たちの体は、この活性酸素をやっつける抗酸化物質をもっていますが、この抗酸化物質の体内生産は20代をピークに加齢とともに減少するため、活性酸素の発生量が異常に増えれば、体内での抗酸化物質の生産量が追い付かず、活性酸素を無害化しきれなくなってしまいます。
 一つひとつの野菜や果物に含まれているフィトケミカルの成分は微量ですが、私たちが健康を維持していくうえで、とても大切な役割を果たしています。その中でも代表的なものが、抗酸化作用です。例えば、鉄は時間が経つとサビ(酸化)ますが、私たちの体も鉄と同じように細胞にサビが生じ老化が進みます。その原因が活性酸素で、時々細胞の機能を低下させたり、DNAを傷つけるといった悪さをします。これが積み重なると、さまざまな臓器が動かなくなり、動脈硬化やがんが発生するきっかけにもなります。この活性酸素を避けるには、できるだけ添加物の多い加工食品を避けると同時に、抗酸化作用の強いフィトケミカルを多く含んだ野菜や果物を積極的に摂ることです。中でも抗酸化作用が強いのはポリフェノールです。抗酸化作用の強い野菜と果物をたくさん摂ることが、アンチエイジングにつながります。
 そのほかフィトケミカルにはがんのリスクを下げるという研究データもあります。大豆に含まれるフィトケミカルのイソフラボンが大腸がんや乳がん、前立腺がんのリスクを抑えるようです。
それと、フィトケミカルのもう一つの働きは炎症を抑える抗炎症作用です。以上の3点がフィトケミカルの主な作用ですが、こうした働きをすべて持っているのがポリフェノールの一種レスベラトロールです。赤ワインやインドネシア原産の樹木「メリンジョ」の実に含まれています。

 

フィトケミカルの分類と成分

 フィトケミカルは、次に挙げる6つのタイプに大きく分類されます。ごく一部ですが、それぞれ代表的な成分と、( )内に多く含まれている食べ物の例を示します。
1.ポリフェノール
  ①フラボノイド系
   アントシアニン( 赤ワイン、ブドウ、ブルーベリー、クランベリー、紫芋 )
   イソフラボン( 大豆 )
   フラボン( セロリ、パセリ )
   フラバノール( 茶、リンゴ、ワイン )
   フラボノール系( 茶、リンゴ、玉ねぎ )
   フラバノン系( 柑橘類 )
  ②非フラボノイド系
   カフェー酸誘導体:クロロゲン酸( 野菜 )
   カフェー酸誘導体:ロズマリン酸( シソ、レモンバーム )
   リグナン:セサミン、セサモリン、セサミノールの総称( ゴマ )
2.含硫化合物(淡色野菜に多く含まれる)
   イソチオシアネート系:スルフォラファン( ブロッコリー、キャベツ )
   イソチオシアネート系:アリルイソチオシアネート( ワサビ )
   システインスルホキシド系:メチルシステインスルホキシド( ニンニク、ネギ )
3.カロテノイド( 植物や魚介類の色素成分 )
  ①カロテン類( アルコール不溶性 )
   β‐カロテン( ブロッコリー、ほうれん草 )
   リコピン( トマト、スイカ )
   β‐クリプトキサンチン( 温洲ミカン )
  ②キサントフィル類( アルコール可溶性 )
   カプサンチン( 赤ピーマン、とうがらし )
   アスタキサンチン( 鮭、イクラ、エビやカニの殻 )
4.糖関連物質
   グルカン( きのこ )
   フコイダン( 海藻 )
   ペクチン( リンゴ )
5.アミノ酸関連物質
   タウリン( いか、たこ、魚介類 )
   グルタチオン( 酵母、レバー )
6.香気成分
   オイゲノール( バナナ )
   リモネン( 柑橘類 )
   ジンゲオール( ショウガ )

 こういった抗酸化物質は、活性酸素の害をなくすという働きは共通しているものの、それぞれに得意分野や性質が異なります。したがって、抗酸化作用の恩恵をまんべんなく受けるには、多種多様な食品から摂り入れることが肝要になります。

 

フィトケミカルは多種多様―だから野菜を丸ごと多くの種類を食べましょう

 フィトケミカルは、体を老化させ生活習慣病も引き起こす活性酸素を除去する抗酸化作用が非常に高いものです。高血圧、糖尿病などの生活習慣病やがんなど、さまざまな病気の予防・改善に役立つことがわかってきています。フィトケミカルは植物全般に含まれているので、種類も1万以上と多く、効用もさまざまです。
 野菜のフィトケミカルは、まだすべてが発見されたわけではありません。わかりやすい分類は色による分け方です。赤い色の野菜にはリコピンやカプサイシン、緑色の野菜にはクロロフィル、紫にはアントシアニン、白には硫化アリルなどといった具合です。決して色の濃い緑黄色野菜に多く含まれるわけではなく、色の淡い淡色野菜にもちゃんと含まれます。フィトケミカルの恩恵を充分に受けたければ、量だけでなく種類豊富に、いろいろな野菜を食べたいものです。もちろん果物にも含まれているのですが、果物の場合は食べ過ぎると糖分が心配ですが、その点、野菜は食べ過ぎてもその心配はありません。
 野菜を丸ごと食べる利点は、未知のものも含め、さまざまな成分がお互いに助け合ったり、繋がったりして効果を高め合っていることです。ここが単一の栄養素しか含まれないサプリメントとは大きく異なる点です。フィトケミカルは1日何mg摂取すればいいと決まっているわけではありません。摂らないから病気になるのではなく、摂れば病気の予防になるということです。元気に健やかに生きるため、野菜を食べる大切さをもう一度見直してほしいものです。

 

フィトケミカルの色による分類―レインボウベジタブル(フーズ)

 ここでは、フィトケミカルの多くを占める色素成分に着目。赤、橙、黄、緑、紫の5色に、苦味やアクを黒、香りや風味を白として加えた7色のパワーについて紹介します。
赤系のフィトケミカル
●リコピン:ビタミンEの100倍、カロテンの2倍以上の抗酸化力をもつ
      がん予防、動脈硬化予防、紫外線・アレルギー対策など
      ( トマト、すいか、金時にんじん、柿など )
●カプサイシン:リコピンと同等かそれ以上の抗酸化力をもつ
      がん予防、動脈硬化予防、善玉コレステロールの増加
     ( パプリカ、トウガラシ )
橙系のフィトケミカル
●プロビタミンA:体内でビタミンAに変換される
     がん予防、コレステロール調整、肌にうるおい
     ( かぼちゃ、にんじん、みかん、ほうれんそう )
●ゼアキサンチン:加齢による視力低下予防、がん予防
     ( パパイア、マンゴー、ブロッコリー、ほうれんそう )
黄色系のフィトケミカル
●フラボノイド:毛細血管の血管壁を補強して血流を促す、高血圧予防
     ( たまねぎ、ほうれんそう、パセリ、レモン、かんきつ類 )
●ルテイン:加齢による視力低下予防、がん予防、動脈硬化予防、肺機能の向上
     ( とうもろこし、ほうれんそう、ブロッコリー、ゴールドキウイ、かぼちゃ )
緑系のフィトケミカル
●クロロフィル:がん予防、コレステロール調整、消臭・殺菌効果、体内酵素の循環促進
     ( ほうれんそう、モロヘイヤ、ブロッコリー、おくら、春菊、緑ピーマンなど緑色野菜 )
紫系のフィトケミカル
●アントシアニン:加齢による視力低下予防、眼精疲労の解消、高血圧予防、肝機能の保護
     ( なす、紫いも、赤しそ、紫キャベツ、トレビス、ベリー類、黒豆 )
黒系のフィトケミカル
●クロロゲン酸:コーヒーの苦味や香り、ごぼうなどの野菜の切り口を変色させる成分
     がん予防、血圧調整、血糖調整、ダイエット効果
     ( ごぼう、ヤーコン、じゃがいも、バナナ、なす )
●カテキン:タンニンとも呼ばれる渋味成分
     がん予防、コレステロール調整、ダイエット効果
     ( 緑茶、柿、ワイン )
白系のフィトケミカル
●イソチオシアネート:スプラウト類や大根などの辛味成分
     解毒作用、がん予防、ピロリ菌対策、コレステロール調整、血液さらさら効果
     ( キャベツ、大根、ワサビ、ブロッコリーなどアブラナ科の野菜 )
●硫化アリル:にんにくの刺激臭や辛味成分、玉ねぎを切るとき涙が出てくる原因となる成分
     がん予防、抗菌効果、高血圧予防、血液さらさら効果
     ( ねぎ、たまねぎ、にんにく、にら )


野菜の「色」に注目してバランス良く栄養素を取り込む

  毎食、レインボウベジタブルを7色揃えるのは無理でも、1日に3、4色の野菜を食べることを意識しましょう。その日に摂れなかった色の野菜を翌日に食べるようにすればバランスよくフィトケミカルを体内に取り込めます。できるだけカラフルな色を揃えることが、見た目にも楽しく、バランスのいい食生活を送る秘訣です。
 抗酸化物質はそれぞれ役割を分担することによって、さまざまな状況で生じる活性酸素に対応しています。抗酸化物質を自然な形でまんべんなく摂り込もうと思えば、いろんな野菜や果物をたっぷり摂ることです。野菜・果物の有効性は、フィトケミカルのうちの特定の成分だけではなく、多くの成分が複合的に作用していると思われます。ある成分一つを取り出して摂取したとしても十分な効果は得られません。様々な抗酸化物質はお互いに協力しながら働くため、それぞれ過不足なく揃わなければ効果が発揮できないともいわれています。ある物質だけ突出して多く摂っても効果は小さく、むしろ有害になることもあります。1つの栄養素を抽出したサプリメントや同じ食品ばかりを大量に摂る弊害も、こんなところにあります。こうした点も考慮し、抗酸化物質はバランスの取れた食事から摂ることが肝要です。
・毎日野菜を食べよう!
 このようにすばらしい健康効果をもつ野菜などの7色の色素成分ですが、毎日7色の野菜・果物を揃えるのは結構大変です。そこで、1日7色にこだわるのでなく、食習慣として長期に、毎日なるべくたくさんの野菜を食べることを意識しましょう。次のように献立を考えると、1週間でだいたい7色揃ってきます。
(1) 緑系と黄系の色の野菜を中心に選ぶ。
(2)1日350gの野菜(小鉢で朝1つ、昼と夜に2つ分ほど)をそろえる。果物は150~200g
が目安。
(3) 食事の支度や買い物のとき、前回使わなかった(買わなかった)色の野菜を使用する(買う)。

 野菜はなるべく鮮度のよいものを購入してその日のうちに食べるのがベストですが、毎日無理なく食べるには、冷凍保存や常備菜を活用するのもよいでしょう。いくら野菜が体によいといっても、野菜だけで健康が維持できるわけではありません。健康な生活を送るためには、毎日の食事でさまざまな栄養素をバランスよくとることが大切です。ほかの栄養素もバランスよくとりながら、野菜や果物を積極的にとることが大事なのです。
・生活習慣の見直しも
 フィトケミカルをたくさん摂っても活性酸素にさらされる生活が続いていては、なかなか効果も発揮できません。夜更かしや喫煙などの生活習慣を改めたり、毎日の食事を見直すことも大切です。例えば、化学合成添加物がたっぷり入った加工品やスナック菓子ばかりを食べている食事では、活性酸素が増えるばかりです。全てではなくとも、野菜のたっぷり入った具だくさんのお味噌汁だけは手作りするなど、できることから実践しましょう。

 

活性酸素の除去にはデトックス食品も効果的

 体内の活性酸素の発生を抑えたり、除去する手立てとしては、デトックス(解毒)効果のある食品を食べることも有効です。これには体に蓄積した残留農薬や添加物、さらには放射性物質を排出する効果も期待できます。野菜では、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、キャベツ、ごぼうなど。果物では、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、スイカ、リンゴ、プルーンなど。この他、コンブやワカメなどの海藻類にもデトックス効果があります。
 わかりやすい考え方としては、便秘予防や排泄をスムーズにする食品にはデトックス効果があるということです。これに照らせば、食物繊維が豊富な食品もそうですし、水を頻繁に飲むということも毒出しには有効でしょう。

 

酸化の害から細胞を守るには毎日3度の食事が要

 細胞がさびついてもろくなる(老化)原因の一つは活性酸素によるものです。発生原因は呼吸やストレス、喫煙、排ガスなど、日常生活のいたるところにあり、これらを完全に排除することはできません。しかし、活性酸素の発生防止や除去に役立つ抗酸化成分は食品から摂り入れることができます。日々増える体内の活性酸素の害を、毎日の食事でブロックしましょう。
 抗酸化作用が期待できる成分は、β‐カロテン、ビタミンC・Eのビタミン類、野菜や果物の香り、色素、アクの成分であるフィトケミカル(硫化アリル、ポリフェノール、カロテノイド、β‐グルカンなど)です。これらは植物性食品に広く含まれ、副菜料理はこの成分が特に多い1皿です。毎日欠かさず食べるようにしましょう。また、ビタミンEは、種実類や一部の魚介類にも含まれています。
 私たちが食事として摂った食べ物は、消化、分解、吸収されたあと二つの道を辿ります。一つはエネルギーとなって身体をつくる材料となる道、もう一つは身体の部分をメインテナンスする材料となる道です。ただしここには、摂取したものが自然の物質でないと使うことができないという原則があります。つまり、化学物質が吸収されても、二つの道のどちらにも使われないのです。なぜなら、化学物質は身体が摂り込んではいけない異物として判断し、細菌やウイルスなどと同じ扱いをするため、壊すか排除するかをしようとするからです。もちろんそこでも、活性酸素が発生してしまいます。自然なものと不自然なもの、それほど大きな違いはないようですが、身体は律義に反応します。そのことを無視してはいけないと思われます。
 サプリメントで栄養を摂ることを全面否定しているわけではありませんが、ただ、食事の内容がお粗末だからサプリメントで摂るというのは本末転倒です。栄養はあくまでも食事で摂る。その上で、どうしても足りないものが出てきたらサプリメントで補うという考え方でなければなりません。食品の中にはまだ分析されていない物質もあり、そういうものの働きも含めて私たちの身体は自然の食べ物から摂り込んだ物質でうまく回転しているのです。そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。食品から有効成分を単体で抽出したものをいくら摂っても、大して効果がないということは科学的にも明らかになっています。
・活性酸素の害から脳を守るには、脂溶性の抗酸化物質を!
 身体運動での有酸素運動の割合は30%以下に過ぎませんが、脳は実に100%有酸素運動をしています。脳の重さは体重の約2%に過ぎませんが、エネルギーの消費量は全体の約20%に及びます。脳はエネルギー源であるブドウ糖を代謝する際、ビタミンと大量の酸素を必要とします。
しかも、筋肉と違って脳は前述の素材を貯めておくことができません。いわば脳の有酸素運動を支えるために、体は常に血液に乗せて新鮮な酸素と栄養を供給し続けなければならないという主従関係にあるのです。そのために、1日に2000?もの血液を循環させてエネルギーを得ているのです。精神代謝は健全な身体代謝によって支持されているのです。
 大量の酸素を消費する脳には、それだけ組織を錆びさせる活性酸素も発生します。脳は脂質、とくに酸化されやすい不飽和脂肪酸が豊富です。活性酸素自体によっても脳細胞がダメージを受けるうえに、脂質が酸化され有害な過酸化脂質に変わり、さまざまな脳疾患や認知症、精神面の停滞の原因となっているのです。
 このように常時発生する活性酸素の害から脳を守るためには、抗酸化物質をバランスよく摂ることが大切です。抗酸化物質にも水溶性のものと脂溶性のものがあります。脳には脂溶性の関所「血液脳関門」がありますから、水溶性の抗酸化物質は入りにくいということ、脳内に脂質が多いことを配慮しますと、脂溶性の抗酸化物質であるコエンザイムQ10やアスタキサンチンなどを摂取すると「血液脳関門」を通過でき、直接的に脳の細胞膜を活性酸素から守ります。コエンザイムQ10は肉や魚介類に、アスタキサンチンはカニやエビ、サケなどの魚介類に多く含まれています。これらを食事で意識して摂るようにしましょう。
 その他の水溶性のビタミンやミネラルなど、脳に必須な栄養素は別経路の血液脳脊髄液関門から通過している可能性が高いといわれています。

 

野菜の栄養が体をサポート―生活習慣病から認知症、がん予防まで

 生活習慣病の予防に、野菜が重要な役割を果たしています。例えば心臓病の場合、“果物・野菜の皿数を1日に3皿増やすと、心臓病のリスクが低下する”という結果が発表されています。また、高血圧の発症に関しても、野菜・果物の摂取の多い人ではリスクが下がるという結果がでています。さらに、野菜や果物、精白しない穀類などを中心とする食事ではメタボリックシンドロームのリスクが低下することも示されています。いずれにしても、野菜・果物を多く摂取することは私たちの健康維持にとっては有用であることが示されています。さらに、成分によって含まれる野菜がある程度限られてくるので、根菜類から葉野菜、果菜まで、野菜を網羅的に食べることが大切となります。
 健康のために食べたい1日の野菜の量は350gですが、日本人の平均は約290g、野菜のおかず1皿分くらい不足です。それに、野菜をきちんと食べる高齢者が平均値を上げているので、まったく足りていない人も多いはずです。食べていると思う人でも、あと1皿、小皿料理でいいので、野菜のおかずを加えるといいでしょう。
 野菜350gの内訳でいうと、緑黄色野菜120gで、淡色野菜230g。緑黄色野菜には抗酸化成分のポリフェノール、必要に応じてビタミンAに変わるβ‐カロテン、トマトの注目成分リコピン、若返りのビタミンEなど、生活習慣病の予防から、がんの予防、再発防止にも効果的といわれる話題の成分がいっぱいです。ビタミンAやEは脂溶性で、余ったら体内に蓄積できますが、これに対して、淡色野菜に多く含まれるビタミンCは水溶性で余分はすぐ排泄されてしまいます。つまり、淡色野菜は毎日食べる必要があるのです。
また淡色野菜は免疫力アップに有効で、中でもねぎ、生姜は体を温めてくれます。ビタミンCは美容だけでなく、ほとんどの病気の予防に関連するといわれています。根菜もビタミンCが豊富です。緑黄色野菜も淡色野菜も、葉も根も、すべて食べたいものです。

 


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